得度式の執行
12月12日の月曜日、私(しんしん)は得度式を執行していただきました。
僧名は観寧です。
得度式(出家式)には奈良の両親や国分寺近所の妻も参列。
合田管長をはじめ国分寺の僧侶方々が読経をしてくださり、賑やかに神聖に得度式を執行していただきました。
しんしんとして職員の時は僧侶の仕事を手伝う意識でしたが、末席ながら僧侶となった今、手伝いながらも私なりの采配を考えて仕事をしていく所存です。
僧名を決める顛末はこちらをご覧ください。
国分寺で仕事をすることになった経緯や、僧侶になった経緯などはこちらをご覧ください。
修行の開始
修行が始まり、いろいろと新しい発見があります。
お経
「般若心経」の読み方は「はんにゃしんきょう」ではなく「はんにゃしんぎょう」でした。
ふだんお経を読んだことがなくても、読経の練習をすると癖が出てきます。
私の場合、抑揚(イントネーション)が強すぎ、続けていくと勝手にメロディーを作り出します。
先生方の指摘では、読経は棒読みに尽きます。
僧侶それぞれに少し癖があるとしても、棒読みを意識することで、初めて出会う僧侶同士がすぐに合唱できるようになります。
お香(塗香と柄香炉)
改めて思えば当然のことですが、お香の速度は、ゆっくり同じ速さで進みます。
同じ速度に加え、煙と香りを味わうと落ち着きます。
お寺には焼香を味わえる場所があり、お香を灰皿に入れます。
また、僧侶が行なう仏の敬い方に、仏具の塗香や柄香炉を使った焼香もあります。
それらの仏具に入れる灰の密度を大きくするとお香が遅く燃え、密度を小さくすると早く燃えます。
カタカナの「コ」を教わったとき「ずこう」と「えごうろ」の読みを覚えられず、「コ」に引き寄せられて「ズッコ」「絵心(エゴコロ)」を連発していました。
三礼(五体投地)
三礼(五体投地)は真言宗で大切なお辞儀です。
正座で合掌した状態から左掌を上にして畳へ置き、次いで同じように右掌を置き、さらに頭(額)を畳へ付けます。
そのあと立ち上がって再び正座へ戻ります。この一連の動作を3回繰り返します。
初めて教わった時、中国明朝・清朝の三跪九叩頭礼に似ていて、びっくり。
少し掘り下げて、三礼(五体投地)と三跪九叩頭礼との違いは次のとおりです。
- 三礼では1度の正座(土下座)につき1回だけ頭(額)を畳や床につけるのに対し、三跪九叩頭礼では3回。
- 三礼では両掌を上にするのに対し、三跪九叩頭礼では手の甲を上に。
三礼は仏教儀式に必要なもので、少なくとも古代中国に遡れます。
樒(しきみ・しきび)
樒の漢字を全く想像できませんでした。シキミの漢字は他に国字の「梻」もあります。
真言密教では生花の代用として樒を六器に盛ります。
樒は常緑灌木で、マツブサ科シキミ属の植物。モクレン科の説もあります。
春の終わり頃に帯黄白色の花をつけ、車輪型の果実が有毒で、核が薬用です。
花言葉は「猛毒」「援助」「甘い誘惑」。毒と薬は紙一重、毒も使い道といったところでしょうか…。
樒と仏教の関係に、いくつかのエピソードがあります。
- 鑑真が中国から樒を持ってきた
- 空海が唐で青蓮華の葉を手に入れられず、代わりに樒を修行に使った
樒は不思議な匂い(抹香の香り)がします。
樒は、よく八角と形状比較されます。
私の感覚で双方の強い匂いを比べると、次のような具合です。
- 八角(ハッカク/トウシキミ)…樒よりも甘い香りがして、漢方の匂いも含む
- 樒(シキミ)…八角よりも薬の匂いが際立っている。
おわりに
偏衫(褊衫/へんざん・へんさん)と袈裟を着るのがとても苦手です。
得度からちょうど一週間が経った12月19日(月曜日、つまり昨日)、偏衫の上下を着るのに40分かかりました…。
袖通すときのタイタニック・ポーズか自然すぎて、手伝ってしもた!
自分のことは自分でできるようにせーよ!
偏衫や袈裟を速く着られれるようになったら、浮いた時間でお経が読める!
着衣、作法、読経……。今は同時に学んで混乱しがち。一連の動作なので慣れたらええ。
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